お好み焼きを小麦粉とダシから作れるせーぶるです(u ・ω・)あとフライパンで一発で返せます。竜児もきっとこう作るはず
ここでのSSSの投稿順は、ほぼ某避難所での投稿順に沿ってたりするのですが。そこから親切な名無しさん有志の手によって本スレに代理投稿してもらうという。いつもほんとにお世話になってます……
ちなみにこの「もんじゃ焼きタイガー」が本スレに載った時は、みんな感想もそこそこに5,6人くらい一斉にもんじゃを食ってくるとだけ言い残して旅立っていきました……みんな竜児に説得されすぎw
***
・もんじゃ焼きタイガー
「なんかゲロみたい」
「どうもすいません。すいません。ちょっと残念な子なんで、ええ。本当にすいませんでした。
……ほらみろ、隣のお客さん吹いちまったじゃねえか。おまえ絶対言うと思ってたけど、
迷いなく店内に響き渡る声で言うとは思わなかったわ……」
「なんか食べる気なくなった」
「自業自得すぎるだろ……だいいち、おまえが、もんじゃ食ったこと無い食べたい食べたいーっ、
って言うから来たんだろ!? まあ、ためしに食ってみろって。美味いから」
「いい。ぜんぶあんたにあげる」
「おまえ一度に6つも頼んどいてそりゃねえだろ!? そうだなあ……見た目か……そうだ、大河、
おまえちょっと目つぶってみろ」
「な、なんでよ。はっ、わかった、あんた私の唇を奪う気ね!? あんたってなんて色情狂犬病なの。
しかもこんな油っくさい場所に誘い込んでだなんて。今日ほどあんたの異常性欲に
驚かされたことはないね、このオイルプレイマニアのダーティドッグ淫蕩犬!」
「ただの勘違いのせいで死にたい気分にまでなるのは嫌だからやめてくれ……。
まあ、いいから、目つぶってみろって、騙されたと思って」
「騙すんならせめてもっとムードのあるところにしてよっ!?」
「だからキスなんかしねえって!」
「なんでキスしないのよ!?」
「して欲しいのかよ!?」
「あんたがしたいんでしょ!?」
「あー……ほら、まあ、頼む、落ち着いてくれ。どう見ても俺たち迷惑系だ。
店員見てる。追い出される。なあ、俺も、いや、俺が悪かった。後でデザートもおごるから」
「……わかったわ。ホテルのデザートで手打ちよ。パークハイアットの展望ラウンジ。
あそこすっごく眺めがいいの! 夜がいいかも! そこでなら……考えてあげてもよいわ……」
「真っ赤になって上目遣いか……大変貴重なものが見られてまことにありがたいが、
絶賛勘違い継続中なのはわかった。……まあ、さておき、もんじゃだ。とにかく目を……
いや、この際、鼻でいい。鼻に意識を集中してみろ。美味そうな匂いがするから」
「鼻!? あんたってどこまで変態……くん、くん、くんくんくん……っ」
「そう、そうだ。プレイじゃないぞ。匂いを嗅げ」
「くんくん、くんかくんかくんかくんかくんか……っはー……くんかくんかくんか……」
「そーう、そう。目もつぶってもっとちゃんと……ようしいい子だ、いい子だなー大河は。
美味しそうな匂いだねー? 美味しそうな匂いがするねー? いーい子だ!」
「くんかくんか……はーっ……する……美味しそうな匂い……する……食いもの……」
「美味しいぞー? 食べるともっと美味しいぞー? 大河は、おこげのとことか好きだろう?」
「うん……好き……おこげ……美味しいよね……石焼ビビンパ……はっ、わかったわ竜児!
私、石焼ビビンパが食べたい! カルビのつ」
「はいそこでストップ! ビビンパはまた今度な。今はもんじゃ焼きだ。おこげが好きな
おませな少女のおまえに教えてやろう大河、もんじゃ焼きとはな、すべてがおこげだ!」
「おお……すべて……」
「そうだ。これがぜんぶおこげ。美味しいおこげだけで満腹したいという人類の夢をかなえた
偉大なB級グルメだ!」
「おお……だけで……もはや神だね、考えたひとは……食べよ! 竜児! 早く食べたい!
ほら早くっ! 世紀の大魔術に成功してマフィアのボスどもから万来の拍手を浴びて恍惚に
うち震えるアングラ奇術師みたいな顔してないでさ!」
「お……おう、そうだな。食べよう、大河!」
「うんっ! ……で、どうやって食べるの、これ?」
「おう、食べ方な。それはこのヘラを使って……ああまて、いいか、まず俺が何回か、
手本を見せるから、ちゃんと見て覚えてから、おまえもまねて食べること。
そして絶対忘れちゃいけねえことは、火傷に注意すること、これだ。いいな?」
「うんっ、わかった!」
「よし、じゃあ、見ててくれ。このヘラで、まずこうして……火傷に注意な、押さえて……
こうくるっと返して、熱いからふーっふーっとしてから、ぱくっと……うん、美味いなこの店」
「あう……ずるい竜児っ」
「ずるいっておまえ、手本なんだからしょうがねえだろ。いいか、もっかいやるぞ。
よく見てろよ……こうして……火傷に注意な、絶対な……こう、ふーふー、ぱく」
「あー……も、もう、わかったよ! 完璧! 私も食べる!」
「待て! 念のためもう一回! 最後の手本だ!」
「えーっ!? うう……ひどい……変態……サド犬……っ」
「わあ泣くな泣くなおまえ! おまえのためだ! おまえが火傷するなんて俺は嫌なんだよ!
な? な? ……よし、最後の一回、よく見とけよ……こう、火傷に注意して、こう、ぱく。
わかったか?」
「ひっく……わ、わかった……」
「よし! じゃあ食べてよし! 火傷に注意な」
「わーいっ! うんっ! いっただっきまーす! っとこうしてこうあっっちゃああああっっ
っってんめえふざけんなこのクソ餓鬼ゃあっっっ!? 訴えてやるっっっ!!」
「ダチョウ倶楽部か!! 馬鹿っおまえ火傷してないかちょっ手見せてみろ!
あー赤い、やったな。ほら、俺の水飲んでないからこれに指つけろ。
すいませーん! 店員さん! お水いただけますか? 新しいグラスで、氷入れて下さい!」
「うう……だ、大丈夫よこれくらい」
「いや、駄目だ。いいから冷やせ。火傷は最初が肝心なんだよ。……あ、すいません。
ありがとうございます。……ほら」
「えっ、なに?」
「チェンジ。こっちのが冷ますのにいい。ちょっと冷たいだろうけどしばらく我慢だ。
……そう、赤くなったとこ、ちゃんと浸けとけ」
「うん……。えっ!? あんた、その水、飲むの? 替えてもらったら?」
「おう、なんでだ?」
「え、だ、だってその水、指、浸けたし……私の」
「俺はべつにかまわねえよ、おまえなら」
「っ!」
「……あ、それともあれか、おまえが嫌なのか? なら替えるか。ってもう口つけちまったけど」
「そんなことない! もん……嫌とかじゃ、ないもん。竜児がいいなら、いい。
……あのね竜児」
「おう、なんだ?」
「わ、私もっ……私も、ね? 今度、竜児が火傷したら、その指冷やしたお水、飲む」
「おう……べつにそんな無理することは」
「無理じゃない、もん……べつに……」
「そ、そうか……よし! じゃあ気をとりなおして、もんじゃ食べようぜ。早く食わないと、
ほんとに焦げちまう」
「うん……でも私、もういいから。手、こんなだし……竜児食べて」
「……こうして、こうして、こう、ふーっふーっ」
「……」
「ふーっ、っと、ほら、大河」
「えっ、なに?」
「なにじゃねえよ。口あけろ。あーんしろ」
「っ! でも、これ……いいの……?」
「いいに決まってるだろ。俺一人じゃ食い切れねえし、それに……
なんだよ、大河、おまえらしくもねえ。さ、いつもみたいに命令してくれよ、俺にさ。
偉そうに、おまえらしく」
「う、うん。そうね、わかった。えと……りゅ、竜児っ! あ、ああああんたなんか……あれ?
んと……かっ、飼い主の私が指を火傷したら、したら……その……
すっ、素早くお水で冷やしてくれて……えと……てっ、店員さん呼んで、その……
お水も気にしないで飲んでくれて……そ、それで、それで、
あーんとかして、優しく食べさせてくれるの……」
***おしまい***
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