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本館SANDWORKS Lab.のSS活動用分館■とらドラ!の大河×竜児SSなど。甘々コメディとラブエロとがあるので注意■本館には右下のリンクからどうぞ
24 . June
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21 . July
今さら劇エヴァ破見てきました。シンジが料理上手になって弁当作ってアスカやレイを餌付けしてました(u ・ω・)……いや? べつに、なにも? なんでも? 何も言いませんよせーぶるです

朝っぱらからなんですが、「並び寝る」の続き投下。前回ついに結ばれたふたり、クライマックスの前半です。

それでは「竜虎並び寝る」 14章、続きからどうぞ。ラブエロ注意

  14
 
 泣きながら、震えて。ぎこちなく、歯も閉じて。
 初めての時よりも、よっぽど初めてするような、竜児のキス。
 その唇に、大河もまた蕾と閉じた薔薇の唇を捧げる。逢わせる。
 潤いも無く荒れた竜児の唇が、途方もなく愛おしい。
 きっと私のために、格別に、喘いで、干からびて、割れた、竜児の唇。
 愛しています。
 愛しています。と。
 大河は自分の唇に想いを込めて、震えるその唇に届けようとする。
 やがて離れれば、微笑み。
 竜児のこわい、優しい目。こわくて、穏やかな目が、大河の魂を撫でる。
 愛を口にすべきだろうかと、大河は迷いながら薔薇色の唇を、そっと開く。
 その唇を竜児に吸われて、おねだりと思われたのだと気づく。
 今度はやらしいキスをしようねと、竜児の舌が誘うから。
 大河も桜色の舌を出して、捧げようとして。
 
 
 キスが魔法を解くと、物語は言う。
 
 
 その舌が、お砂糖になる。
 唇が、頬が、鼻が。
 目まで届いたとでもいうかのように、大河は瞳を大きく見開く。星を振るわせる。キスの、最中なのに。
 はたして。竜児も細い目をこれでもかとばかりに見開いていたのだ。
 竜児も、なの?
 お砂糖へと変わっていく波は止まらない。変化の震源は、もうひとつ。
 竜児の熱くて硬い肉をきつく包む大河の肉が、お砂糖へと変わる。途端に甘く甘くとろける。
「あっ!」
 大河はとうとう声を漏らす。瞳が甘い涙の雫をこぼす。
 腰が、のどが、ももが、胸が、すねが、腕が、足が、手が、お砂糖になっていく。
 気づけば、指の先、髪の毛の先までもが甘くなっていた。
 お腹の底、へその下に、とろけた砂糖が流れ込み、ふたたび流れ散る、濃くて甘い疼きの溜まりが現れる。
 ずきずきとそこが激しく疼く。
「あっ! あっ! あっ!」
 止められない声は、溶けて吐息となった砂糖の欠片だったのだ。
 竜児。
「り、りゅうじ……っ」
 私をお砂糖に変える、特別なひと。
 竜児だけにとろける、お砂糖の私。
「たっ、大河……おまえの中、熱くて、キツくて……とけそうだ……っ! へ、平気なわけが……っ!」
 無かったのだ、平気なわけが。
 平気なわけなど。
 大河の唇にまで降り落ちてくる、竜児の汗。
 桜色の舌を出して舐めてみれば、やはりしょっぱいのだ。でも、これは、きっと。
 お砂糖になった、竜児の雫。
 竜児も、なのだ。
 きっと大河だけにとける、お砂糖の竜児。
 竜児をお砂糖に変える、特別な私。
 嬉しい。
 嬉しい。
 私たち、こんなにくっついて。
 とうとう、つながっていて。
 平気なわけなど、無かったのだ。
 キスが魔法を解くと、物語は言う。
 キスが魔法を解いたのか、それともキスが魔法をかけたのか。大河にはわからない。竜児にも、きっとわからない。
 けれど、きっと、何が解けたのかはわかる。
 痛めないようにと思う竜児の気持ちが、痛がらないようにと思う大河の気持ちが、解けたのだ。
 心から身体が取り戻されたのだ。
 今や大河は、身体じゅうが甘かった。指の先まで甘いのだった。性器とそうでないところの区別など無かった。それは甘やかさの濃淡のようなもので、竜児に触れたところだけが格別に甘い。つながるところをひとが性器と呼ぶのだとしたら、竜児が触れたところは、そこがどこであろうと、大河の性器なのだった。だから。
 キスが途方も無く気持ちいいのだ。
 撫でられればそこが甘くなるのだ。
 乳を吸われるだけで絶頂したのだ。
 つながるところは、身体ですらなくても、言葉でさえも、性器なのかもしれない。だから。
 可愛いと言われて震えたのだ。
 命令されて絶頂したのだ。
 ただ竜児だけが、大河のすべてを性器に変えることができる。
 ただ竜児だけに、大河はおのれを変えることを許したのだ。
 それを、好き、という。
 竜児、好き。
 竜児のことが、好き。
 私は竜児のことが好きなの。
 がまんできない。
「りゅ、竜児……っ!」
「た、大河……?」
 ふたりは動いてなどいなかった。しかもふたりは動いていた。
 ただ、つながったままでよかった。動く必要なんてなかった。
 それだけで、つながったところから、激しい快感がふたりの身体を貫く。貫く。貫く。
 大河の腰はひたすらに跳ねて、竜児のものを締めつける。竜児の尾骨から脳天へと快感が走る。
 ふたりは喘ぎ、震え、涙と汗を散らす。
「もう……がまんならないわ……」
「た、た、た、たい、が……?」
 狂おしい快感の嵐の中で、竜児はさらに驚かずにはいられない。
 さっきまで快感に苛まれて眉をひそめ、切なそうに目蓋を震わせ、桜色の舌を薔薇色の唇からのぞかせて甘く可愛く喘いでいた大河が。
 なんてちいさく、華奢で、熱く、濡れて、震えて、白く、淡色で、桃色で、甘やかに香り、可愛く、可愛く、可愛いのだと、竜児の脳髄を痺れさせていた大河が。
 その、大河が、大きな瞳にほとんど殺意の光すら溜めて、虎も虎、猛獣もいいとこの、ものっっっすごおおおおっっっい目つきで、やおら竜児をガン睨みしてきたのだ。
 わけがわからなすぎた。
 謎多き今宵においても、最高の謎の出現であった。
 大河は声音も低く、低く、低く。獣のように唸って。
 吼えた。
「この……犬っ!」
「ひっ!?」
「駄犬!」
「ひっ!?」
「グズ犬! エロ犬! 馬鹿犬! ドジ犬! ブス犬!」
「ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!?」
 なに犬、かに犬、あれ犬、これ犬、それ犬……と、ひたすら大河は竜児を罵り、睨む凄まじさもあいまって。
 ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ……と、ひたすら竜児は大河の罵りにのどを引きつらせて合いの手を入れるばかり。
 なんとここに来て深夜の罵倒のスーパーメドレー、悪口の天才・大河オンステージの開幕であった。
 やがてさすがに犬メドレーが終わったかと思いきや、
「グズ犬野郎! エロス野郎! スク水野郎! ドグズ野郎! ドブス野郎! ドエロ野郎!」
「ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!? ひっ!?」
 意味がかぶろうがおかまいなし、野郎メドレーのスタートなのだった。
 しかもその間、大河が叫ぶのにあわせるようにして、大河の熱くて狭い穴は竜児の勃起をぎゅうぎゅうと甘くきつく締めつけてくるのだ。ひとたびキスで解けてしまった魔法は、大河の罵倒の嵐の中でも絶賛解消中なのである。
 目と耳からは大河の罵倒、鼻と肌からは大河の愛撫、それもこれもと竜巻のごとく入り混じり、怒涛のごとく竜児の身体に流れ込む。地上にあって人の身体にこれ以上の混乱があるものかと。
 罵倒にあわせてひっひと律儀にのどを鳴らしながら、竜児の凶眼すらただひたすらに白黒と明滅、過剰する意味、絶対の無意味の狭間で狂気の淵に立たされる。右を向いても大河、左を向いても大河、上も下も前も後ろも大河大河大河大河。心も大河によって完全包囲、針すら立たぬ零次元に風前の灯火となったわずかな意識で竜児は思う。
 地獄の罵倒に天上の快楽、いったい大河は俺の身体に何を刻み込もうというのか。もしこの罵倒の渦の中でおのれが絶頂を迎えてしまったら、いったい俺の身体にどんな不滅の刻印が焼きつけられるというのか。もしこれでなくては――大河の天才的な罵倒に晒されながら、大河のめくるめく甘美な身体に包まれながらという、もし、コレでなくてはイケないカラダになったとしたら。どう考えても、どう考えても、どう考えても、それは。
 ド変態。
 弩のつく変態、ド変態。
 超々々弩級ドドドド変態。間違いない。
 もちろんそれも大河とのこと。愛だとは思う。愛があるとは思う。愛である。ただし。
 愛だとしても歪んだ愛。愛があっても歪んだ愛。歪んだ愛である。間違いない。
 永遠に続く罵倒、無限の濃度の愛撫にさらされながら、しかし竜児は思い始める。
 それでもいいのかもしれない、と。
 それでもいいのだろう、と。
 それでいいはずだ、と。
 それでいいのだ、と。
 それがいい、と。
 ド変態、歪んだ愛、なんであろうと。
 大河がそれを望むのであれば、それがいい、と。
 大河とともに在れるのなら、それでいい、と。
 心の中心、面積無し、線分無しの零次元の頂から、宇宙のすべてとなった大河という名の真っ暗闇の底なしの淵へ。
 落ちよう。堕ちよう。堕ちてしまおうと。
 あふれる愛を抱いたまま、竜児が一歩を踏み外そうとした。その時。
「竜児っ!!」
 最後にして最強の罵倒と見まがう大音声で、大河が竜児を竜児の名において呼び止める。
 一切の段階もなく、一挙に宇宙が晴れ上がる。
 晴れわたる透明な宇宙にひとつ、ちいさなちいさな光。あれこそは。
 あれこそはと、竜児は眼をかっと見開く。
 あれこそはと、竜児は落ちるのもかまわず足を踏み出す。狂おしく走る。
 あれこそはと、竜児は肩もはずれよと腕を伸ばす。指よちぎれよと空を掻く。
 あの光。あれは光の光。星の星。
 ただあれだけが欲しいのだ。
 俺はただ、あれだけがあればいいんだよ、と。
 命をさしだし、無限の距離を走りぬけ、絶対の距離を握りつぶし。
 竜児はついに、光をつかまえる。
「つかまえた!」
 光の名を叫ぶ。
「大河!」
 竜児がその手をひたすのは、淡色の髪の海。
 胸をあわせるのは、ミルク色の息づき。
 目をあわせるのは、星振る大きな瞳。
 自分の罵倒は棚に上げ、いきなりつかまえたと宣言され、大声でその名を呼ばれて驚く、ちいさくて華奢で、可憐な少女。
「りゅう、じ……?」
 驚きのあまり、大河は毒気と一緒に肝まで抜かれたように、そう、切れぎれに呼んだのも、つかの間。
 えいやと気合を入れなおすかのように睨み目、眉根もしかめて竜児を見返し、ふたたび気合一閃。
「竜児っ!」
「おうっ!」
 途端に大河は涙をぽろぽろこぼしだす。謎の極致である。
「やっと……返事、してくれた……」
 気合はどこへ行ったのやら、大河の声は安心のあまりに可愛く震えるのだ。
「大河……」
「ど、どうして返事してくれなかったのよお……っ! 呼んだのに……いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい呼んだのにっ! あんたってば、ひっひっひっひっひ~っ、なんて、キモい笑い声で笑ってばかりで、ちっとも返事してくれないんだもんっ!」
 それはおまえの呼び方が悪かったからじゃねえのかと、竜児は唖然として思う。だいいち、あれはひきつったのどがあげた悲鳴で、そんな珍妙なキモい笑い声じゃねえぞ、と。ひょっとしたら、ショックのあまりの狂気の淵で、大河の言うとおり本当に笑っていたのかもしれないが。
 しかしすると、言われてみれば。
 あの、凄まじい罵倒の嵐は、たしかにすべて、俺を呼んでいたのだと竜児は気づく。竜児のどこかを貶すだけの罵倒はひとつもなく、罵りとともに必ず竜児そのものを呼ぶ声であったと気づく。犬の、野郎のと、それはまあひどい呼び方ばかりで、それを耐えて受けとめてやれるのはたしかに竜児くらいのものだろうが。でも、たしかに。
 それはすべて、ひどかろうとなんだろうと、大河が竜児を呼ぶ声なのだった。
 大河の言葉が過去すら変える。
 宇宙の晴れ上がりが過去にまでも伸びてゆく。
 言葉の暴力の荒れ狂う不透明な闇に包まれていたとばかり思っていたのに、すでにそこは透明な宇宙で、竜児の傍にはずっと、ずうっと、あの光が。光の光、星の星が、またたいていたのだ。
 大河は、竜児を呼んでいたのだ。
「おまえは、俺を呼んでくれていたんだな……」
「そうよっ!」
 だけど、きっと、竜児はもう、愛に狂っていたのだろう。
 宇宙の晴れ上がりは先の罵倒の嵐を抜けて、今夜にひろがり、今日にひろがり。
 昨日へと、おとといへと、ひと月前へと、去年へと、秋へと、夏へとひろがり、ついには春へとたどりつく。
 大河が初めて竜児を犬と呼んだ、あの日のあの時へと。
 きっと、すでに恋に落ちていたのだと、大河が言ったあの時へと。
 忌々しくも苦々しくも感じたはずの、過去のすべての罵倒がひっくり返される。
 すべてが大河の甘く切ない呼び声であったと勘違いして、それが真実になる。
「おまえは、俺を呼んでくれていたんだな……」
「そうよっ! なんで二回言うのよっ!?」
 竜児は返事をかえす。大河の甘く切ない呼び声をひっくり返していたすべての罵倒にむけて、甘く優しく返事しかえす。
「おう」
「な、なんで今度は呼ぶ前に返事するのよっ! あっ! ……やだ、どうして……っ!?」
 応えるように大河の身体はふるふると震えるのだ。可愛いと言われて悦ぶ時のように、へその下が甘く疼いて、大河は驚いてしまう。
「う、うそ……私、やばい……どうしよ……りゅ、竜児の、返事、だけで……なんて……そ、そんな」
 あわあわと、大河は慌てだす。
 それでも見失うまじ、と竜児をふたたび睨みつける。
「竜児!」
「おう」
「あっ、あうう……っ」
 やっぱりもう、駄目なのだった。ただの竜児の返事だけで、大河のへその下はずきんと甘く疼くようになってしまった。そんな馬鹿なことって、あるわけない。でも、あるのだ。大河の身体は、本当にそうなってしまった。
 身体の奥まで、竜児のものになってしまうなんて。
 嬉しくて、くやしくて。
 でも大河は負けるわけにはいかないのだ。
「竜児っ!」
「おう!」
「竜児っ!」
「おう!」
「竜児っ! 竜児っ! 竜児っ! 竜児っ! 竜児っ!」
「おう! おう! おう! おう! おう!」
 ずきずきずきずきずきずきずきずきっ!
「へ、返事、も……だめ……っ」
 竜児の返事におへその下をぐっちょんぐっちょんにかき混ぜられ、とろけたお砂糖は一挙に脈打ちながら全身に散る。指の先ざきまでもが、へその下と同じ濃度で甘く甘く疼いて、もし今、竜児に触られたら、指先だけでもイってしまいそう。
 薔薇色の唇を開けたまま、大河はもう喘ぐことすらできなかった。気絶しないのがやっとだった。
 でも大河は負けるわけにはいかないのだ。
 愛してる、って言うの。
 愛してる、って言わなきゃ。名前を呼んで。
 竜児、愛してるって。
 そのために、一生懸命、全力で。
 私の竜児を呼ぶすべての呼び方で、この鈍くさいこと極まる最愛の男を呼びつけたのだ。
 快感に震える奥歯も噛み殺して、私は猛獣。
 睨みつける、愛しいひとを。
「竜児っ、い、いい? いいい一度しか、いいい言わないからね!」
「おう」
「へ、返事はいいから……」
 ずきずき。
 すごくキマらない、猛獣の私。
「りゅ、竜児っ!」
「おうっ!」
「……い、いいい一度しか言わないからね!」
「おう……でもそれさっき聞いたぞ……?」
「う、うるっさいっ! 黙ってろ!」
 ずきずき。
「りゅ、竜児っ!」
「……」
「返事っ!」
「お、おう……返事はいいのか?」
 ずきずき。
「へ、返事は、だめ……いい」
「ど、どっちなんだ……?」
「……いい、許す」
「おう、わかった」
「はう……」
 ずきずき。
 駄目なの。駄目すぎ。
 いかんともしがたく駄目であった。
 このままじゃ埒があかない。
 ひょっとしたら竜児は、との思いが大河にきざす。
 ひょっとしたら竜児のやつは、ぜんぶわかってやっているんじゃないの……? と大河は疑い出す。
 こいつは、この愛しの男は、もろもろ込みで、ドエロセックステクニックの限りを尽くし、私に、愛してると、言わせないつもりなんじゃないの……? と。
 それは許せない。
 そいつは許せないわねえ。
 そいつは許しちゃあおけませんわねえ。いくらこのアイラブドエロまんじゅうでも。
 ふつふつと、怒りが湧き起こってくる。
 なんだか、イケそうな気がしてくる。
 イケそうな気がする。エロでない意味で。
 駄犬が。この駄犬ふぜいが。犬めが。馬鹿犬めが。
 怒りよ。
 怒りよ怒り、出ておいで。
 出て来い。
 オルァ出て来んかい。
 来い、来い、来い、来い、来い――――――――来ぉいっ!
 来た、来たっ、来た来た来た来た来た来た来た来たっ――――――っ来たあああああぁぁぁぁっっっ!!
「――っよおっっっ! しゃあっ! 来たあっ! この野郎言ったらあっ! やいっ! やいやいやいやいやいっこの竜児っ!?」
「おうっ!」
 
 
 怒りよ。このひとにたどりつくまで、
 私を支え続けてくれた力。
 
 
「っ!? く、一度だけよ! 一度しか言わないからその犬耳かっぽじってよおおおおおっっっく、聞くことねえ!?」
 
 
 怒りよ。もう要らない力。
 
 
 涙を吹き飛ばして。お願い。
 怒りよ、私に、あんたの最後の力を、頂戴……!
 
 
「わっ、私はっ! 竜児っ! あんたのっ! ことが……っ!? ことを……っ!? ことがっ!? をっ!? がっ!? をっ……!?」
 
 
 怒りよ。お願い。
 
 
 愛に変わって。
 
 
「す、き」
 
 
 ――私の、ドジ。
 
 
「大河……」
「……好き」
「た、大河? 一度じゃ」
「好き……好き、好き好き好き好き好き好き好き好きいっ! あんたのことが好きっ! 私、あんたのことが好きっ! 好きなの! ずっと好きだったの! ずっとずうっと好きだったのっ! 大好きなの! 大好きでたまらないの! 許さない! なんでここにいるのっ!? 嬉しくて死んじゃうわこのっ、だっ、だっ、だだだ大好きなひとっ! 大好きっ! 竜児っ! だあい好きいっ! わ、私っ! 私っ、わた、し、は、ね? りゅうじ、あんたのこと、だいすき、なの……しゅ、しゅき…………」
 燃料切れ、であった。
 泣く力すら残ってなかった。
 ただ、ゆるゆると、大河は竜児の首に力なく腕を巻きつけ。
 口づけする力すらなく。
 ただ熱くなった目蓋を閉じて、竜児の頬にくっつける。
 鼻息で竜児の胸をくすぐる。
 
 
 大河は滅茶苦茶だった。
 愛してると言うんじゃなかったのかと。
 一度しか言わないんじゃなかったのかと。
 しかもいらんことも言ったんじゃないのかと。
 でもなんか、それなりに大満足なのだった。
 いいかげんな、女なのだった。
 はぁ、幸せ。
 はー、しゃーわせぇ、と。
 気だるい幸福感に包まれて。
 なんか疲れたし。
 竜児は最高の抱き枕だし。
 このまま寝ちゃおうかな、なんて。
 思ったり、思わなかったり。
「大河」
 なんか、ちょっと呼ばれたね。
 かなり気に入ってるの、この声。かなり、っていうか。
 最高だよね。誰にもやんない。独り占め。
「俺も、おまえのことが、す」
「ちょおおおっっっっと待ってくださいよおおおおっっっ!?」
 大河、再起動。
 体力が尽きたのじゃなかったのかと。
 きっと、たぶん、別体力。
 ご飯を2合食べて満腹しても、デザートはどんとこい。これが別腹。
 竜児に告白して体力が切れても、竜児の告白はどんとこい。これが別体力。
 竜児の頬から目蓋をひっぺがし。
 竜児の首に巻きつけた腕も解いて。
 睫毛よ整えと念じながら手の甲で涙をぬぐい。
 どさくさにまぎれよと鼻水も手で押さえてすすり。
 額や頬にはりついた髪だけでもせめて梳き。
 油断して竜児と目があって照れ笑いし。
 ああつまり鏡が欲しい。
「可愛いよ、大河」
「あう……っ」
 ずきずきと、震えて。
 今はこのひとが私の鏡。
 こわくて優しい目を星揺れる瞳で見つめて。
「じゅ、準備オッケーです」
「おう、そうか」
「は……っ」
 ずきずき。
 返事だけでこうなるなんて。慣れなかったらどうしようと、大河は将来がちょっと心配になる。
 慣れなければ、私はきっと、ずっとこのひとの奴隷。
 そんな思いまで嬉しいなんて。
「好きだよ、大河」
 準備なんて、出来ていなかった。
 準備しても、何度でも不意打ちなのだった。
 涙が出る。顔がくしゃくしゃになる。
 こんなことが私に起きて良いのかと思う。
 狂おしいほどに想えるひとが、私を想ってくれるなんて。
 私よりも大事に想えるひとが、私を自分より大事に想ってくれるなんて。
 竜児が、私を、好きだなんて。
 おかしくなりそう。
 また変なことしそう。だから。
 このひとに、頼るしか。
「た、助けて、竜児……」
「た、助ける?」
 告白したら救助を求められるとは、誰も思うまい。竜児だって思ってもみなかったのだ。さすがに慌てるほかない。
「な、なんだ? どうした? どっかヤバイのか? どうすればいいんだ? 大河?」
「ど、どうしよ、竜児、どうしよ……う、嬉しくて、わ、わ、私、おかしくなりそう……っ。ま、また、変なこと、しちゃいそう、なの……っ」
 だから助けて、助けて、竜児、と。
 あわあわと、開いた薔薇の唇も曖昧に蠢かせ。
 大河は可愛く懇願してくる。
 竜児の胸に途方もなくあたたかいものがこみ上げてくる。満ちる。
 この地上でただ俺にだけこの幸せが許されているのだと噛み締める。
 なんだってしてやろうと竜児は思う。
 なんだってしてやれると力を錯覚する。
 大河には。
 俺の大河。
「して、いいぞ、大河」
「え、えっ……?」
「していいんだよ、大河」
「りゅ、竜児……?」
「おかしくなっていい。変なことしていいんだよ、大河。俺がぜんぶ受け止めてやる。どんと来いだ」
 言って、竜児は優しく、いっそ朗らかな笑みを見せてくれるのだ。
 バカね、竜児って……そう大河は思う。
 本当に、どん、なんてしてやろうかしら、なんて。
 そうしたらびっくりして、なにすんだ、とか言うくせに。
 そう思って、そんなことが思えることが、すでに穏やかな心なのだと大河は気づく。
 やっぱりこのひとが、一番上手に私を助けてくれる。
 私の竜児。
 そう、思ったのに。
「大好きだよ、大河」
「はう……っ」
 好きだよと、大好きだよと、一体なにが違うという。
 竜児の言葉は今度は大河のへその下を直撃する。きついほどに甘い疼きが跳ねて、大河は思わず吐息してしまう。そして。
 前言撤回。
 竜児のバカ。
 助けて、って、言ったのに。
 嬉しくておかしくなるって、言ったのに。
 追い打ちかけてくるなんて。
 嬉しい。
 嬉しい。
 大好きだって、言ってくれた。私のこと。
 大好きな竜児が、私のこと。だから。
 お返し、しないと。 
「わ、私も、ね? 竜児のこと……」
「愛してるよ、大河」
 低く、甘く、落とそうとしてくる竜児の声音。
 今夜まで、こんな声を出すひとだなんて、大河は思わなかった。知らなかった。
 女の子なら、誰であってもきっと耐えられない。
 私は、もう駄目。
 竜児のバカ。
 お返しもさせてくれないなんて。
「わっ、わっ」
 ずきずきして、身体が勝手に上げる声を聞いてしまう。
 竜児のバカ。
 竜児ってば、ずるい。
 もう、二回も、ううん、三回も。愛してるなんて、言うんだもの。
 一度目は慌てて、二度目は涙して。
 そして三度目ときたら、優しくかき口説くようにして。なんて余裕。
 憎らしいったら。
 だから。
 ずるい、と大河は言おうとしたのだ。
 ずるい、竜児、と。ほんとうに。おねだりではなかったのに。
 薔薇色の唇を、そっと開いて。
 そこにすっと唇を寄せられて、大河は竜児に吸われてしまう。
 
 
 キスが魔法を解くと――
 
 
 ずきずきっ!
「あう……っ!」
 舌を竜児に嬲られる、その唇の合わせ目から、大河はひどく甘い声をあげた。
 お砂糖の涙を流す。
 がくがくと震えて、お砂糖の汗を散らす。
 竜児の腕の中で、ちいさな地震のようになる。
 へその下の甘い疼きが大河の全身を支配する。
 竜児を感じよ、と。
「大河……?」
 竜児の吐息のような呼び声を、顎をひいた大河が額で受け止める。
 子犬のように桜色の舌を出して、甘く嗚咽する。
「あっ! あっ! あっ!」
 
 
 おまえの肉に挿し込まれ、おまえの肉で締め上げる竜児を感じよ!
 
 
「りゅ、りゅうじ、だめ、お、おっきくしないで……っ!」
「すまん……っ! で、でも、駄目なんだ、おまえ、可愛くて……可愛いと……大河っ!」
「あーっ! お、おっき……おっきいの! ひ、ひどいっ、ひど……あーっ! す、すごっ!」
 ふたたび魔法が、解けたのだった。
 最後の怒りが大河にかけてくれたかりそめの魔法が。
 大河が竜児に愛を告白するために、身体から心を取り戻させてくれていた、怒りの魔法が。
 大河の尻が竜児を求めて跳ねる。
 
 
 これ以降は身体がおまえを支配するだろう。
 
 
「だ、だめっ、わ、わっ、私っ、ま、まだ……っ!」
 
 
 舌の根まで甘く震え、おまえはひとつの確かなことも言えない。
 
 
「ま、まだ、りゅ、りゅう、じ、に、い、言って……いって、いっ、て……っ!」
 
 
 おまえの甘い喘ぎは、愛する者の心からもまた、身体を取り戻させるだろう。
 
 
「たっ、大河っ、す、すごいよ、おまえの……穴……す、すごい……っ!」
「そ、そんなっ、そんな、えっちなこと、言っちゃ、だめっ! りゅ、りゅうじ……っ!」
 
 
 おまえの愛する者もまた、ひとたまりもなく身体に支配されるだろう。
 
 
「大河っ! だ、だめだ、よ……そんなに、腰を、おまえの、腰、動かしちゃ……っ!」
 感じる大河が腰を跳ねさせていた意味を、快感にとろけた脳で竜児は知る。
 つながりを深くするために。
 何度も何度もつながりを深くするために、勝手に。
 竜児とのために、ふたりのためにそうするように大河の身体は出来ていたのだ。
「だ、だめっ! りゅ、竜児っ! こ、腰、動かしちゃ、あーっ! さ、挿しちゃ、だめっ!」
「ご、ごめん、大河……で、でも、だめなんだ……っ。お、俺、ハメたい……大河に、ね、根もとまで、挿したい……!」
「あっ! あっ! あーっ! ひ、ひどっ! りゅ、りゅうじ、の、えっち! い、痛くしない、なんて、嘘つき! お、奥っ! あっ!」
「い、痛いのか? 痛いのか? た、大河……っ?」
「ひ、ひどいっ! ひどいっ! 痛く、ないのっ! き、きつくて、お、おっき……こ、こんなのっ!」
 指だけで、竜児の指を挿されただけで、大河は何度も激しく絶頂したのだった。
 竜児に優しく慎重に指を増やされながら絶頂させられて拡げられ、ふたりで痛みに耐えながらようやくつながり、そしてつながったまま愛しく言葉を交わして竜児の太さに馴染ませられた、大河の穴。
 竜児に変えられてしまった大河の穴
 竜児の勃起を熱く、硬く、きつく感じて。
 限界であった。
「い、イキそう、なんだな? 大河……」
 大河はコクコクとうなずいて、潤んで星の揺れる瞳で竜児を見上げる。
 薔薇色の唇を震わせて言う。
「い、言わないで、ね? 命令、しないで、ね? め、命令しちゃ、だめ。わ、私、命令、竜児に、命令されたら、イク娘に、なっちゃった、ん、だから……」
 可愛くてたまらなくなる。
「うん、うん……命令しないよ、大河。可愛いよ、大河、すごく……」
「わ、わた、私、りゅうじ、に、ちゃ、ちゃんと、言いたいこと、あるの」
 可愛くて、可愛くて、竜児は心を取り戻す。優しくなる。返事をかえしてやる。
「うん、うん……」
「あ、あの、ね、わた、し、りゅ、りゅうじ、の、こと、あ……」
 その時、大河の身体を襲う甘美な地震がにわかに激しさを増す。
「あ、あ……」
 甘い涙が眦から吹きこぼれる。
 大河は高まってしまう。
「あっ、あっ……!」
 その言葉は竜児の命令に似ているとでもいうのか。
 大河は高まる。
 
 
 高まる。
「大河……」
 高まる。
 
 
 私。
 駄目。
 無、理。
 
 
「あ、あっ! あ、あい、し、て……イ、ク……っっっ!!」
 
 
 なんだ、それ――
 
 
 大河は絶頂した。
 絶頂して、何度も何度も締めつけて。
 大河の穴は竜児の形になっていく。


(この章おわり、15章につづく)
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